第四章

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 槇はその要望に合わせて、ノートパソコンと無線LANを用いて、売り場からサーバーにアクセスするプランを用意していた。現在使われている社内システムがM社のグループウェアで構築されているため、そのシステムを流用すれば追加開発費が抑えられ、データの移行も容易だと考えたからだ。  次点の候補としてスマートフォンを利用し社内システムにリモートアクセスするプランを用意し、二つのプランそれぞれの利点や特性を挙げて説明した。  鹿賀はざっと、資料に目を通すと槇にいくつかの質問を投げかけ、次に問題点やリスクを指摘した。  まず、売り場にノートパソコンを設置、操作するためには販売スペースを削って新たなスペースを確保しなければならないこと。パソコン本体の紛失・盗難などによるセキュリティー面のリスクが懸念されることなどが挙げられ、その後も何点か現場の人間でないと気づけない指摘が続いた。  肩書きだけで全く知識がない人も多い中、鹿賀はよく勉強しているようで、専門用語もすんなりと口にしていた。槇は知識もなく無茶な注文ばかりつける人たちに説明することにうんざりしていたので、鹿賀の的を射た指摘や注文はとても助かった。  この人とならば、ストレスなく仕事が進められそうだ。最初の希望的観測をより強いものにした。     
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