第四章

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「それはそうと、槇ちゃんクリスマスの予定どうなってる?」  西は社内の独身の男女が集まってクリスマスに飲み会をするので参加しないかと槇を誘った。今年のクリスマスは金曜日。いつも金曜日には伊原と会っているが、クリスマスはどうなんだろう。もしかして、もう別の予定が入っているのかもしれない。クリスマスにまで自分などとは会いたくないかもしれない。それでも、もしかしたら、という思いも捨てきれない。 「クリスマスは、ちょっと予定が入ってて……」  もし伊原に予定があったら、そのときは一人寂しく過ごすことになるが、それはそれで仕方がない。そう思い、槇は西の誘いを断った。  西は残念がり、最初は恋人でもできたのかと勘ぐったが、特にしつこくするでもなく「予定が変わったらいつでも声掛けて」と言ってくれた。  デスクに戻り、ノートパソコンで先ほど岩本に言われた報告書を作成しながらも槇は伊原の事を考えていた。  伊原はクリスマスをどう過ごすのだろう。  予定を聞いたりするのは、何かを期待しているみたいで図々しいだろうか。  こちらから、一緒にいたいと誘ったりしたら引かれるだろうか。
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