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鹿賀が手伝ってくれたこともあり、予想以上にデータの修正は早く進んだ。
「終わった……」
時計を見ると午前二時を少し回ったところだ。
「ありがとう、助かったよ」
「いえ、鹿賀さんが手伝ってくださったおかげで早く終わりました。本当にありがとうございます」
槇は自分に対する情けなさを感じながら、再度鹿賀に頭を下げた。いつも、人に迷惑をかけてばかりいる。結局、仕事も人の力を借りないとまともにできない。
ほっとして気が緩んだせいか、急にいろんな思いや疲れがどっと溢れ出た。身体が重い。胸が苦しい。まさか、と思った時にはもうざわざわと耳鳴りがして目の前が霞んでいた。
――また発作が起きる……!
はぁはぁと弾む息。どくんどくんと早鐘のようにうちつける鼓動。こんなところで発作を起こしてはダメだ、と焦るほど動悸は激しさを増していく。
「すみません、ちょっとトイレに」
「どうしたの? 顔が真っ青だ」
「大丈夫です、ちょっ、と……疲、れ」
椅子から立ち上がろうとしたが、膝から崩れるように跪いてしまった。
「槇くん!?」
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