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学校に着くと、受験番号のくくりごとにそれぞれ分かれて教室で試験を受けるようです。
私と秋は番号が離れているので、別の教室で行われるようです。
「じゃあ……雪奈」
秋が右手を出しています。私は両手で握りました。
「頑張ろうね」
「ああ」
私はいっぱいおいのりしました。
「……な、長いよ」
さみしいですけど手を解くことにしました。でも秋はその右手を見ています。
「じゃあ、終わったら校門で待ち合わせな」
「うん」
秋はその右手をちょっと上げてから、試験を受ける教室に向かいました。
(私も頑張らなきゃ)
気合を入れ直して、私も教室に向かいました。
いろんな服の中学生さんたちの中にぽつんといます。緊張しますが頑張ります。
いつもとは違う音色のチャイムが聞こえて、いよいよ入学試験が始まりました。
試験の問題は結構難しい。というか勉強していたときとは違うような出題ばかりで戸惑いました。
秋のことがちょっと気になるけど、私は全力を注ぎました。
筆記試験が終わりました。いつものテストだったらみんなの声が響いてくるころなのですが、終わった後も少ししか声が聞こえてきません。最初は緊張していましたが、慣れてきたらなんとかうまく解けていったように思います。
続いて面接試験です。先生から聴いたお話によると、ここの学校は面接試験の内容をとても重視しているらしいです。うまくしゃべることができるか今から緊張します。
面接試験は五人一組ずつ行われるようで、筆記試験が終わった後も座ったまま待って、呼ばれたら廊下に出て待つという感じ。私の順番は早そうです。
ほどなくして私の番号が含まれる五人が呼ばれたので、廊下に出て先生についていきました。
別の教室の前に着くと、廊下にイスが五つ並んでいて、そこに座るように指示がありました。
私は列のいちばん前だったので、右端に座りました。
名前が愛郷雪奈なので一番は慣れっこですが、さすがに今日は緊張します。
ちらっと左を見てみると……男の子一人、女の子三人。
私の入っていた部活は吹奏楽部で、その大会に出たときに他の学校の制服を見てきたけど、ここのみんなのは見たことない制服だと思う。
みんなも緊張しているのかな。
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