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「み、みなさんがよかったら混じりたい、です!」
「そいじゃ、名前、教えてよ」
男の子は姿勢を正しました。
「僕の名前は暮川誉です!」
「よろしくー」
「へっ!? あの、これは……?」
「握手だよ握手」
「いや、でも」
「嫌なのかい?」
「そうじゃなくて!」
「なら~、ほら」
佳城さんはちょっと笑っています。
暮川さんはおどおどしながらも手を出して無事握手しました。なにかあったのかな?
「じゃ、あんたの名前教えてよ」
私の番が回ってきました。
「私の名前は、愛郷雪奈です」
と、自分の名前を言った途端に佳城さんはちょっと体を仰け反りました。
「うわうわ! 名前までかわいいとかなんなの!? なんなのまったくもう!」
「あわわあわ離して離してくださいぃ~!」
佳城さんが暮川さんの手を握ったままぶんぶんしています。
「よろしくお願いします」
みんなからよろしくお願いしますが聞こえてきましたが、佳城さんのぶんぶんは止まりませんでした。
校舎から出ることにした私たちは、校門が見えるところに長いベンチがあったので、そこに並んで座ることにしました。
私たち以外にもいろんな生徒が出ていっていますが、周りや校門を見回してみても秋はまだ来ていないようです。
左端から、暮川さん・佳城さん・私・実條さん・瀬藤さんの並び。
みんな別々の制服で、話を聞いているとばらばらの地域だし部活もばらばら。聞いたことない場所のことばっかり。
突然おしゃべりするようになったけど、今日試験を受けたみんなは、それぞれの想いを胸にここへ来ているんだなあって改めて思いました。
「へぇー! 雪奈ちゃん男の子と二人でここ来たんだー! 好きな子?」
「えっ?」
佳城さんが軽く、でも大変なことを聞いています。他のみんなも私のことを注目しているようです。
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