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「……えっと」
でも答えないといけないようなので、
「……はい」
と答えたらみんなきゃーきゃー。
「ど、どういうところが、好き、な、のっ……?」
実條さんが今までで最も近く寄ってきました。
(そういえば……なんだろう……)
私は秋にひっついてたいです。秋も別のひっついてていいようです。私は、秋のどんなところを……
「そんなに悩むことかい?」
佳城さんからそう言われても、もうちょっとうーん。
「……ひっついても、許してくれるところ、とか……」
またみんなきゃーきゃー。
「す、すごいすごい! ラブラブだね!」
実條さんとても近いです。
「付き合ってどのくらいなの?」
あまりおしゃべりしない瀬藤さんからの質問。
「……してないです」
「え?」
佳城さんからすごく乾いた声が。
「えっ? お付き合い、しているわけじゃ……ないのっ?」
「……はい」
今度はきゃーきゃーじゃなくえーえー。
「なぁー……んによなによそれー! そんだけのろけられて付き合ってないってー!? なによそれぇ~!」
「だだだからなんで僕をゆゆ揺らすのさあーー!」
また暮川さんが佳城さんによってゆっさゆっさされています。
「何か事情でもあるの?」
(事情……事情……)
「……ううん、ないと思う」
「むきぃーーー!」
「やややぁーめぇーてぇー!」
「で、でもわかるかもしれない、その気持ちっ……」
実條さんが両手を組んでいます。
「告白しちゃうと今までの楽しかった関係が崩れちゃうかもって思ったり、今のままの関係が居心地よくって踏み出すのに戸惑ったり……そういうことだよね?」
(うーんと……)
「……よく、わからないです」
あ、実條さんちょっとこけました。
「人それぞれ事情ってあるよね。私んとこは付き合いまくりだけど」
「ええっ!?」
瀬藤さんの言葉に実條さんがとてもびっくりしています。
「そうだっ。ここに男子がいるじゃん。おい誉、雪奈ちゃんにアドバイスしてやんな」
「きゅ、急にそんなこと言われてもー……」
暮川さんは私のほうをちらちら見ています。
「ったく使えねーなぁ~」
と言いつつ佳城さんはにこにこしながら暮川さんの右ほっぺたをつんつんしています。
「あっ」
校舎から出てくる秋を発見しました。
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