高校入学試験の日

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「あの子が……?」 「うん」  私はベンチから立ちました。 「今日はありがとうございました」  みんなのほうに向き直ってからごあいさつ。 「い、一緒に受かってると、いいねっ……!」 「それじゃあね」 「あ、ありがとうございましたっ!」 「お幸せにぃーーー!」  みんなに向かって手を振りながら歩き出しました。  しばらく歩いたところで秋のほうに向いて走り出しました。 「うわ雪なぁーっ!?」  ああっ、勢い余って秋と一緒に倒れちゃいました。遠くからきゃーきゃー声が聞こえています。それもベンチの方を含めていろいろなところから。 「なっ……にすんだいててっ」  私は秋の上からのけました。 「ゆ、雪奈っ、ったくー」  秋はちょっと笑っています。 「てへ」  私と秋は一緒に立ち上がりました。秋はズボンの汚れたところをはたいています。 「テスト終わったもんな。今日くらいいいか」 「ありがとうございます」  私もちょっとスカートはたいておきます。 「それじゃあ、いくか」 「はい」  私と秋は一緒に歩き始めました。 「ばいばぁーい!」  声がした方を振り返ると、ベンチからさっきのみんなが手を振っています。  私も歩きながらしばらく手を振りました。 「……だれ?」 「一緒に面接受けた人たち」 「もう友達になったのか?」 「うん」  私たちは前に向き直りました。 「……やっぱり雪奈って、いいやつだよな」 「ありがとうございます」  秋と一緒に校門を抜けました。  ここでもう一度、校舎を眺めてみます。 「……一緒に来られるといいな」 「うん」  まぶしい太陽を背に、私たちは駅に向かいました。
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