faith in the snow

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faith in the snow

 どんな上質なキャンバスも、描けなければただの白い布だ。  今朝から降り続く雪のせいで校庭のグラウンドは、地塗りされたばかりのキャンバスみたいに、すべてが白く覆われていた。校外の道路もまた同じようにどこまでも塗りたくられていたため、きっとこの世界中が真っ白になってしまったのだろうと錯覚するほどだった。 「電車止まんないかなあ」 「止まったら学校に泊まろっか」 「あはははは、蜜柑とは絶対ヤダ」   友達の柚葉と蜜柑は、イーゼルを準備室から持ってくると、いまだ降り止まぬ空を仰ぎながら、喜々と語り合っていた。  こっちは日々の楽しみを奪われて意気消沈だというのに、まったく友人甲斐のない連中だ。  私は描き途中の絵をイーゼルに立てかけると、短くため息を漏らす。 「檸檬は大丈夫なの?」  フラれた仕返しに、その冷え性の両手で柚葉の背中をまさぐり倒した蜜柑が、尋ねてきた。 「地下鉄だから」  短く答えると、二人は「あー」と口を揃えた。表情まで同じで面白い。  最寄り駅が大きいため、この学校の沿線はいくつかあったが、地下鉄は一本だった。割高な地下鉄ではあったものの、こういう些細な有事の時は心強い。     
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