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もともと店を出る前から二次会をどうするかという話は出ていたのだ。ただ、それは話しているグループごとにぽつぽつと上がっていただけだったので、柏原がそれをうまくまとめたという形だ。
「決まりだね。じゃあ次のお店見つけるからちょっと待っててください。他の人の邪魔になるから、あんまり広がらないように」
柏原は言って、隣の広末とスマホを見ながら話し始める。それでまた他の面々もお喋りを再開する。その間を縫って、相也は柏原の前へと出た。
「柏原」
「お、どうした藤崎?」
「わるい、おれ二次会はちょっといけないわ」
その言葉に、柏原は少し眉を寄せる。
「え、そうなの?」
「いや、研究室に忘れ物しててさ。ほら、明日は入れないだろ」
「ああ……」
明日は大学入試の後期試験が行われるため、学生の大学構内への立ち入りは終日禁止されている。忘れ物を回収するには、今晩中に取りに行くしかない。
相也の言わんとするところが分かり、柏原は表情を緩めた。正確には相也は忘れたのではなく、置いてきたのだとは知らずに。
「了解。じゃあ先に一回締めるか。広末はそのまま店見つけてて」
「はいよー」
言われるまでもないと言うように、広末はスマホの画面から顔をあげない。
「はーい。お店は広末が今探してくれてるので、先に一回締めちゃいます。二次会は任意参加だから、帰る人は俺に一言言ってってねー。
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