1691人が本棚に入れています
本棚に追加
「いい加減に! 人を抱き枕代わりにするのはやめてくださいっ! 女性には朝の支度というものがあるんです! 私の肌がボロボロになったらどうしてくれるんですかっ! ただでさえこの状況にストレス半端ないんですから!」
外出不可だし完全監禁状態だし。
その上休む事さえこの人と一緒なんだから、支度する時ぐらい自由にさせてほしい。
私の怒涛の訴えが功を奏したのかどうなのか、ホールドされていた腕がゆっくりと外された。
そのままぱっとシーツから抜け出て振り返ると、上半身を起こした社長の姿がそこにはあって。
って何で上裸なのよっ!!!
慌てて顔を背けるけれど、一度目に入ってしまったものは取り消しようが無く。
うあああ朝から何てモノ見せてくれるのっ。無駄に見た目は良い癖に眼鏡外してるからフルフェイスで丸見えなんだけどっ。
私は両手で顔を覆い、熱が集まるのをどうにか抑えた。
「どっどうして裸なんですか!」
裸族か!寝るとき裸族タイプだったの社長!
というか私あの状態のあの人に抱かれて寝てたのよね……?
考えると顔から火が出そうだった。
「安心しろ。下は履いてる」
当たり前だ! と言おうとした所で、三嶋社長はぱっとベッドから出てシャツを羽織った。
文句を言うタイミングを奪われて、私はがくっとうなだれる。
なんで朝からこんな疲れさせされるのかしら、私……。
「ダイニングルームに朝食を用意してもらっている。俺は先に行くから、出来次第書斎に来てくれ」
それだけ言って、彼は何事も無くベッドルームを後にした。
そういえば、朝食取らない人だったわね。
私としてはありえないけど。朝に栄養取らないのが一番体に悪いんだから。コーヒー一杯だけなんて不健康極まりないわ。一日の基本は朝食からよ。
でもそのおかげで、この気持ちを落ち着ける時間が出来そうだ。
一人取り残された私は、すごすごとパウダールームに向かったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!