彼との契約 ~二日目 マッサージ~

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あー……思考まで堅苦しいこと考えてると本当に肩が凝る。 というか痛いレベルだわこれ。 仕方ないので寝ながら手で片方の肩をぎゅうっと抑えた。 案の定ガッチガチだし……。 「肩が痛むのか?」 「ひえっ!!」 背後から突然声がして、一瞬飛び上がった。って横にはなってるんだけど。 心臓に悪いわねっ。せめて近づく前に一言声掛けなさいよ! 振り向くとそこに居たのはやっぱり三嶋社長で、疲れなんて微塵も感じさせないいつもの顔をしていた。 「べ、別に大丈夫です! って、ちょっと!」 ギシ、と彼が横に上がってきて、起き上がりかけた私の身体をそのまま静止する。 一瞬嫌な意味でドキリとしたのに、おもむろにくるりと身体を倒されうつ伏せにされた。 ちょっとちょっと! 何すんのよっ! 「社長何を……っ」 「じっとしていろ」 後ろから伸びてきた手が、私の肩に触れた。と、思ったらその手がぎゅ、ぎゅ、と肩を押してきた。痛くはない程度の程よい力で押して、揉まれている……。 いや卑猥な意味でなく。マッサージされてる。 なぜ。 って。ええ?何で私社長にこんなことされてるの?むしろ普通逆じゃない? てゆうかこれセクハラになるの?あ、でもまずい。 ちょっと気持ち良いかも……というか本当に肩ががちがちだったんだなぁと実感した。 じゃなくて、何、これ。 「……社長」 「何だ」 「どうして私は、貴方にマッサージされてるんでしょうか」 不可思議極まりない事を質問したというのに、マッサージする手を休める事無く彼は「君が疲れたと言ったから」と答えた。 ……私の呟き、聞いてたんですね。 というかいつから居たんですか貴方。 眼鏡をかけたビジネスマン(ジャケットは脱いでるけど)がマッサージしてくれている様は、傍から見ればかなり滑稽に見えるだろう。 ああもう、何なのこの人。 予測不可能どころか理解不能っていうかもう何考えてるのか全然わかんないわ。宇宙人よ宇宙人。人攫ってる時点で大概奇想天外だけど。 なんだか真剣にこの人の行動を理解しようとするのが本気で馬鹿らしい。 というか、貴方私の倍以上働いてましたよね?
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