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「俺が送ります」
「え……でも、委員長も、授業が…」
「風紀には授業免除がある。問題無い。藤宮の荷物取って来ます」
「うん。宜しくね」
「え、あの…」
口を挟む間も無く二人で話を進め、委員長は保健室を出て行った。
「彼、本当に良い子だね」
閉まったドアを見ながら先生が微笑む。
「素直に頼っていいと思うよ?」
「でも…、只でさえ忙しいのに、これ以上迷惑は…」
「こーら」
先生の指が、軽く眉間を突付いた。
「君はまだそんな事云ってるの?何度も云ってるでしょう?誰も迷惑なんて思っちゃいない。彼だってきっとそう。君はもっと我儘になってもいいんだよ。甘えていいんだよ」
眉間に当てられていた指が離れ、髪を優しく撫で梳く。
「忘れちゃ駄目だよ。僕達は皆、君の幸せを願ってるんだって」
「……はい…」
でもね、先生。委員長は何も知らないんだ。
だからこれ以上巻き込む訳にはいかない。
勘の良い人だから、本当は僕の事も気付いているかも知れない。
接触恐怖症だって、何かのトラウマが無ければ普通はあそこまでならない。
僕の身に何かが起こったのはきっと、気付いているだろう。
だとしても、何も云わない彼の優しさに甘えて、僕も何も云わない。
だって知ってしまったら、優しい彼を傷付けてしまうから。
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