高二 九月

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この学園の理事長は病院経営にも関わっていて、普通の保健室で対処出来ない病気や怪我に直ぐ対応出来るよう、専門医師を常駐させる為に作られたのが第二保健室だと云う。 だけど此処二年程は緊急を要する事態も起きておらず、近くにある付属の大学の敷地内に分院を建てた事もあり、第二保健室は閉鎖されていた。 ところが今年の春から研究室も兼ねて使用されるようになり、医師も派遣された。 まあ一般生徒が利用する事は無いけれど。 「んー、じゃあ下まで一緒に行こう。場所分かるか?」 深く追求はせずに笑う彼に、僕は仕方無く小さく頷いた。 「あ、光希って呼んでもいいか?俺は浩介でいいからさ」 此処で無理に突っ撥ねるのも不自然だろうし、胸中で嘆息しながら頷いた。 あまり馴れ合うつもりは無いんだけどな。 云いながら廊下に出た瞬間、浩介が顔を顰めた。 その視線の先には、すらりと高く均整の取れた体で姿勢良く歩く、整った顔立ちの生徒。 そしてその横には色素の薄いさらさらの髪を揺らし、女の子のような小動物のような可愛らしい顔をした小柄な生徒が笑顔で寄り添うように歩いている。 「氷の貴公子、今から生徒会室か?山城(やましろ)のヤツ相変わらずくっ付いてんのか」 後ろから顔を出したのは、昨日プリントを取って来てくれた村山。 「……氷……?」
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