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「……なあ」
「…………」
「藤宮ってさ、双子の兄弟とか、同い年の男の親戚が居たりしない?」
「……一人っ子だし、親戚は年上ばっかだけど」
うんざりした声音に、流石に申し訳無くなる。
「あー…、変な事訊いて悪ぃ。知ってるヤツに似ててさ」
「……………このガッコウのヤツ?」
こっちを見ないまま溜息を吐いて、呟くように藤宮が尋ねた。
まあ、自分に似てるヤツが居たら、気になるよな。
「いや、けど大事な親友なんだ。あー…今頃何処居んだろなー……元気ならいんだけど」
「………やっぱ、変なヤツ」
前を向いたまま呟かれた言葉に苦笑して、高く蒼い空を見上げた。
初めて見た時、あいつが帰って来たと思って目が離せなかった。
別人と分かっても、もしかしたらと期待した。
───戻って来る事なんて無いって、分かってるのに。
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