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「………本当に、大丈夫か?」 じっと見つめて心配気に尋ねる声に、くすりと笑った。 「大丈夫だよ。ただ此処に居たいだけで、……関わるつもりは無いから」 此処は確かに、辛い事を思い出させる。 だけどそれだけじゃない。 幸せな時間も此処には確かに沢山あったのだから。 「……そうか。どうせなら……少しでも楽しく過ごして欲しいのだが」 それは無理だよ。 だって幸せな思い出が増えれば、その分辛くなる。 相手を傷付ける。 「とにかく、無理だけはしないでくれ。何かあったら直ぐに云うんだよ?」 「うん。分かってる。……我儘云ってごめんなさい。ありがとう……」 笑みを作ろうとして失敗し、辛そうに歪んだ顔で強く抱き締められた。 暖かな腕の中でそっと目を閉じて、もう一度小さく呟く。 「………ありがとう、父さん…………大好きだよ……」
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