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「光希君?!顔真っ青だよ?早く横になって!」
ノックして入ると、第二保健室担当の梶原先生が慌てて駆け寄って来て僕を抱き上げベッドに横たわらせた。
「何かあった?水飲む?」
気遣わし気な先生に緩く頭を振って、心配顔で立ち尽くしていた浩介に顔を向けた。
「………村山に、ごめ……、て……先生、発作……説明……」
僕の云いたい事が解ったのか、梶原先生はにこりと笑って浩介に向き直った。
「確か、保健委員の狭山君だよね?えーっと、誰か、彼に急に触ったりした?」
「あ、カズ…、クラスの村山が巫山戯て肩組んで来て……発作って…」
人の良い笑顔を向ける梶原先生に、浩介が戸惑いがちに答える。
深く関わるつもりは無いけど、罪悪感を抱かせたり嫌な思いをさせたままなのはやっぱり居心地が悪い。
それに、浩介には簡単な説明しておいた方が、今後こういう事態を避けられるだろう。
他のクラスメイトはそうでもないけど、物怖じしない村山は誰にでもスキンシップが過剰みたいだし。
「うん。何て云うか、これは自分でもどうにも出来ないものなんだけど…。人に、大きな男性は特にね。急に触られるのが駄目なんだ。慣れた人間なら平気なんだけど、過呼吸や頭痛に目眩、嘔吐などの症状を引き起こしてしまう」
村山はバスケ部員で、背も高く体格もいい。
ましになったと思ってたけど、大柄な男はやっぱり無理みたいだ。
と云っても小柄な僕とそう変わらないか小さい男は少ないけど。
「ああ、だからか。カズには云っとく。あいつは気にするヤツじゃないし、大丈夫だよ」
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