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浩介が僕に向かって眉を下げて笑う。
村山も人懐こいけど、浩介もかなり人が良い。
こんな無愛想で派手な見た目の僕に、昨日からずっと笑い掛けてくれる。
それともそれは、大事な親友に僕が“似てる”から?
───大事な親友、か……。
そう云えば。
「………生徒会長が……嫌い、なの……?」
さっき廊下で見掛けた途端に顔を顰めた。
人当たりの良い彼にしては、随分冷たい瞳であの人を見ていた。嫌いと云うより、憎んでるとか恨んでると云った目だった。
「え……あ、いや…」
一瞬言葉に詰まり、浩介は苦笑して濁した。
久し振りの発作で少し距離感が可怪しくなってしまっている。
余計な話をするつもりは無かったのに。
息を吐いて、ゆっくりと瞬きをした。
「……送ってくれて、ありがとう……」
それだけ云って、目を閉じた。
「いや、ゆっくり休んでくれ。午後の授業出れないようなら先生に伝えとくけど」
「ありがとう。様子を見て僕の方から連絡入れるから気にしなくていいよ」
目を閉じたままの僕に変わって梶原先生が答えた。
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