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梶原先生は一年と少し前から僕の担当医で、今回の編入に合わせて先に春からこの学園に赴任していた。
僕の我儘の所為で、色んな人に迷惑を掛けてると思う。
だけどそれでも僕は。
「先生。………ありがとう」
小さく笑みを浮かべて告げると、先生は儚く微笑んだ。
それからふわりと僕の体を両腕で抱き込んで、ゆっくりと後ろ頭を撫でる。
「……僕達は皆、いつだって君の味方だよ。君の幸せだけを願ってる。覚えていなさい」
暖かな腕の中で、そっと目を閉じる。
どんな時だってずっと、僕の周りには優しい人達が居た。
色んな人達の優しさで、僕は今まで生かされて来た。
だから、ねえ先生。僕は充分幸せなんだよ。
どんな辛い事があったって、幸せだった過去は消えない。優しい記憶はずっと残る。
幸せだった記憶が欲しくて此処に来た。
だけど。
大切な人には出来ればやっぱり笑ってて欲しいって思うんだ。
その笑顔が見れればそれだけで、僕はもっと幸せなのに。
なのに僕にはどうする事も出来なくて。
それが堪らなくもどかしい。
ねえ先生。
僕はどうすればいいのかな。
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