高一 七月 事変

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「生徒会書紀、佐河悠里(さがわゆうり)。今学期を以って役員を辞任するよう勧告する」 「────会、長……?」 「従わない場合、他役員全員の署名を持って理事長にリコール申請を行う」 淡々と、平坦な声で告げられる信じられない言葉。 何故。 一体僕が何をした? 「…………な……んで……」 「……何故?その口がそれを問うのか?自分の胸に聞いてみろ」 いつも穏やかな笑みを湛え、真面目で何事にも冷静且つ公平な副会長、(かなめ)。 人懐っこく好奇心旺盛で、太陽のように笑うムードメーカーの会計、いっ君。 人見知りで恥ずかしがり屋だけどいつも一生懸命な庶務、(こう)君。 真面目で無表情。皮肉屋だけど甘いものを前にすると途端に上機嫌になる庶務、(ゆう)。 そして、気高く優しい全校生徒の憧れ。 生徒会長の征樹(まさき)。 僕の一番大切な人。 小中高一貫教育、大学まであるこの桜守一橋学園(さくらのもりひとつばしがくえん)に僕が入ったのは中学から。 そして生徒会の皆と出会い、三年間を共に過ごした。 この学園の偏差値は高く、生徒会役員は小中までの成績と素行で決められる。 高校に入っても外部入学の庶務が一人増えただけで変わらないメンバー。 どんなに仕事が忙しくて大変な時でも笑顔が絶えず、互いを信頼し助け合う、仲の良い仲間達だった(・・・)。 そう。 あの日までは。
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