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「要っ、僕が一体何を…」
「風紀を乱す者を、役員にはしておけない」
眼鏡の奥の瞳には嫌悪感を露わに、忌々しそうにそう告げる要。
「ねえっ、いっ君っ」
「気安く呼ばないでくれるかなあ」
汚いモノでも見るかのような目と、吐き捨てるような言葉。
「宏君っ、雄っ!」
「…………」
「…………」
汚らわしいとばかりに眉を寄せて唇を噛んで顔を背ける宏君と、険しい瞳でじっと僕を見据えるだけの雄。
「もう止めて下さいっ。
見苦しいです。皆貴方に裏切られて傷付いてるんです。僕だって…。
謝れなんて云いません。でもせめて、せめてこれ以上誤魔化すのは止めて下さい…っ、
これ以上皆を…っ、騙さないで…っ、傷付けないで……っ」
「…………結人、君……?な、にを……」
高校からの外部入学で庶務の結人君が、きっと睨み付けながら発した言葉は途中で震え、大きな瞳からぼろぼろと涙を溢れさせた。
肩を震わせ嗚咽を堪えながら、隣りに立つ征樹のシャツをきゅっと掴む。
その光景に胸が軋んだ。
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