奇妙な同居生活の始まり

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新しいマンションに引っ越しが決まり、俺は引っ越し業者が運び入れた箱を開け整理していた。 本は本棚へ、服はタンスへ。 新居に引っ越すとやはり気分が変わる。明日からの仕事も頑張れそうだ。 荷物の片付けを終えベランダから外を眺める。日差しを浴びながらコーヒーを一杯。 優雅な心地を楽しんでいるとインターホンがなった。 “この時俺がインターホンに出なければこの後に続く災難に巻き込まれずに済んだかもしれないのに” のちのち後悔することも知らに俺はインターホンを出た。 「あのーすみません」 やたらと腰の低い大屋さんが頭をぺこぺこ下げていた。 「はい」 「少しよろしいでしょうか?」 とぺこぺこ止めることなく頭を下げてくるので、コーヒーを置いて玄関へ向かった。 「どうかしましたか?」 ドアを開けると、大屋さんと一人の青年が居た。 「あのー本当に申し訳ありません」 大屋さんは深々と頭を下げてくる。 いったいどうしたのかと慌てて手を振る。 「いったいどうなされたのですか?」 と聞くと青年が一歩前に出た。 「ここ、俺の部屋なんです。出ていってくれませんか?」 「は?」 俺は間の抜けた声を出してしまった。 「この部屋、俺が契約したの。だから出てって」 「大屋さん、どう言うことですか?」 「本当にすみません、……で……な訳でして……な……事が起きて」 大事なところは声が小さくて聞こえなかった。 「いやすみません、もう一度お願いします!」 イライラしてしまい俺は強く聞き返した。 「とにかくここは俺の部屋なんですよ。引っ越し業者もきてるので、すみませんが荷物を運ばせて貰います」 と青年が引っ越し業者を手招きした。 「ここに運んで」 「はい」 青年は俺を押しよけ、引っ越し業者は手際よく荷物を運び入れた。
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