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甘いような、なんだかクラクラするような、
心地よい壱生くんの匂いに包まれながら、
壱生くんの鍛えられた胸にもたれ
掛かかっていた。
ん?なんかおかしい。
あれ?なんか忘れてる。
巧くんは?
いつのまにか巧くんの姿が消えていた。
「ねぇ、巧くんは?」
「あれ?ホントだ、いない。」
一体いついなくなったのだろうか。
巧くんが部屋を出ていく気配すら感じなかった。
二人で不思議そうに顔見合わせていると、
巧くんが透明な袋を持って戻ってきた。
よく見るとその袋の中には
たくさんの氷が入っていた。
あっ、
わざわざ取りに行ってくれてたんだ…
ちょっと人見知りで気難しいところもあるけど、こうしたときの細やかな気遣いは、ちょっと嬉しい。
「ほら、これ当てて。」
がっちりと筋肉のついた腕を伸ばし、私の様子を伺うような姿勢で氷の袋を差し出してきた。
こっちもまた、顔が近い。
二人とも無自覚で困る。
「あ、ありがとう・・・」
両手で氷の入った袋を受け取った。
「怪我したら、旦那さんに申し訳ないから」
「あ・・・なんか、ごめん。」
何故か謝ってしまった。
元はといえば壱生くんのせいなのにな。
なんだかスッキリとはしないが、もういいや、そう思って終わらせたかった。
まだ、予約した時間までは1時間ほど残っていた。
さぁ、どうする私たち。
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