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急に向こうが静かになり、
振り向くと二人揃って私を見つめていた。
整った顔立ちの二人が同時に普通の主婦である私を見つめていた。
場合によってはなんて贅沢な場面だろうと思う時もある。
目が眩むような眩しいのだ。
さすがだ。
そこだけ雑誌のグラビアを切り取ったかのような
雰囲気に言葉を失い、時を忘れつい見惚れてしまっていた。
「七海ちゃん?おーい!」
不思議そうな顔を向け、開いた掌をこちらに向け
ゆっくりと横に振っている。
その様子をぼんやりした頭で眺めて固まっていた。
「な・な・み・ちゃん!」
急に二人のユニゾンした声が耳に入り、はっとした。
止まっていた時が急に動き出したような感覚を感じた。
「あっ、ごめんごめん。なに?」
若干取り乱した事を隠すように、冷静なふりをして答えた。
「何?ようやく終わった?おっぱい談義。」
「え・・・と、うん。」
なんだかものすごく歯切れの悪い返事だった。
うん?何かあるな。
瞬時にそう感じた。
壱生くんが、ちょっと困った顔をして
こめかみを掻きながら、頭を傾けている。
この仕草をする時は、彼にとって何か聞きづらい事がある時だ。
なんだ、まどろっこしいな、と思いながらも親切に聞いてやる。
「どうしたの?」
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