”エピローグ”

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黒影はそう思いながら自室の扉の鍵を閉め、いつも着ている真っ黒なロングコートを脱ぐ。 これと言って特別なものは置いてない部屋。 ベッドとクローゼット、本棚にデスクという最低限のものしかないようか部屋を見渡し、いつも通りデスクに備え付けてある椅子を引く。 椅子の背もたれに脱いだロングコートを掛けてから腰を下ろし、人前で脱ぐことのないシルクハットをデスクの端に置く。 足を組み、首元を絞めていたネクタイを緩めるとワイシャツの胸ポケットに入っていた『Peace』と金色で銘柄が書かれているタバコと愛用ライターを取り出しデスクに置いてある灰皿の横に置くと、椅子の背もたれに全体重をかけた。 ギシギシと微かに軋む音、 無音の部屋に微かに響く楽しそうな笑い声と話し声を聞きながら黒影は目を閉じた。
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