ドアの向こう

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大学時代はせまい1DKアパートのでよく5人で泊まったな。 その中に昴がいたな。ちくっと胸が痛む。 いや、思い出すな、オレ。 それに比べて、仕事始めてから借りたマンションは広くて、遊びに行くと、ごろ寝はしても頭がぶつからず、よかったな。 それもさびしくも思ったこともあるが…… それが幸運だ。 今付き合っている彼女もいないっていっていたし、それに…… あいつには片あこがれの……片思いの先輩がいるしな。 そんな器用な奴ではないはず。 会ったのが1ヶ月前だから、まだ大丈夫だろう。 勝手、知ったる何とかで、オレは余裕で、マンションの中をづかづか入って、龍祐の部屋の前にいた。 インターホンを鳴らしても、出てこないから、寝ているんだろうと、何度も押し鳴らした。 いつも突然やってきて、龍祐が寝ているところ、たたき起こしているから、なんとも思わず、ドアノブをガチャガチャまわしていた。 後ろから、 「君、何をしているんだ」 振り返ると、青白い影の薄そうな男が立っていた。
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