ドアの向こう

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「名前は?」 「大貫直哉」 「住所は?」 オレの住所?どこだろう? オレは住所不定な男になってしまったよ。ははははは…… こりゃあ、警察呼ばれちゃうかもな。 もう笑えねえ。 そこに髪の長い綺麗な女の人が飛び込んできた。 「す、すみません。505号の立川です」 彼女は……すまなそうな顔をして、管理人に頭を下げた。 にやけた管理人が俺の視界から遮るように腕を広げた。 細い管理人がやったら、鶏の威嚇のようでもあった。 「おねえさん。ここはまだアイツがいますので、危ないですよ」 管理人のヤツ、急に優しい声出しやがって、オレの時は尋問のようにさながらの勢いで聞いていたのに。 彼女は……遠慮がちに可愛らしく小首をかしげる。
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