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帰りの車内は、行きと違って話が弾んだ。
やり遂げた後で、緊張が解けたせいでもあると思うけど…。
哲哉さんが、気を遣ってくれたのかもしれない。
今週は、校長先生と教頭先生が、揃って出張中だった事や、他の先生方も、何とかすると、宮内先生が話していた事。
昔から、人の弱味を握る事が得意な奴だった事等を話してくれた。
マンションの駐車場で、良かったらお昼食べて行きませんか?と、誘ったら、
それまでの軽い雰囲気から一転して、龍児と一緒なら。と、マジメな顔で了承してくれた。
オレ…マズい事言っちゃったのかな…?
一条さんから、用が済んだら、サッサと帰れ的な事を言われてたとか…?
哲哉さんが、一条さんと連絡を取ってくれて、会社の近くのレストランで待ち合わせする事になった。
商業ビルの一階にあるそこは、レストランというより、カフェ風で、テラス席には、何組かの男女が、温かい飲み物を飲んでいた。
「オレ、じじぃだから、中の席でいい?」
返事の代わりに吹き出してしまうと、
「ムードが無くてごめんね」
と、頭を掻きながら少年のような笑顔をくれた。
砕けた感じで接してくれてるけど、仕事中の彼は、雰囲気が変わるんだろうな。なんて…想像してた。
だけどまさか、この後直ぐにその顔を見る事になるなんて、思ってもみなかった。
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