拝啓   アーメント・リリアーナ様

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こうしてお母様にお手紙を出すのは私がアンナと結婚した時以来ですね。そちらはもうじき雪が降る頃でしょうか。シュタリナの雪景色が懐かしいです。小さい頃は雪が降るとよくお母様と雪合戦をして遊んだものです。お母様は魔法を使って雪玉を自在に動かして魔法の使えない私に当ててくるので私は反撃する隙もなくふかふかの雪の上に倒れてしまいました。私がずるいというとお母様は 「なに、魔法も実力の内だよ。だってお前、もし、学校にものすごく記憶力が悪い子がいたとして、テスト勉強をする時間を減らすかい?元から生まれ持った能力が違っても自分が使える能力を最大限に使って勝負した方が絶対に面白いじゃないか。雪合戦でもそうだ。人間の子だって努力すればきっと魔女に勝てるさ、魔女は魔法に頼りすぎているから人間よりも見落としていることが多いい。それに、魔法も万能じゃないしな」 といって豪快に笑っていましたね。いつでもお母様は誰が相手でも全力で勝負していました。そして、お母様は誰に対しても対等に接していました。魔女の村、シュタリナに捨てられた人間子の私に対しても。あの大吹雪の夜にお母様に出会わなかったら私は今頃こうしてアンナという嫁をもらうことも技術者として町で働くこともなかったでしょう。お母様には感謝しても感謝し切れません。
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