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「はぁ……」
髪をぐしゃぐしゃとかき混ぜた。胸の鼓動がまだ少し速い。ベッドまで来る勢いだった。そんなことされたら……15センチを越えてしまう。
(朝から心臓に悪いな)
俺はベッドを離れてクローゼットに行くと、Tシャツとジャージを脱ぎ捨て、高校の制服を取り出した。代わり映えのない制服に着替えながら、姿見の中の自分を見つめる。
「似てねー」
鏡の中の自分と姉貴を重ねて、呟いた。
目も鼻も口も、中身も。何一つ似てない。
なのに家族って、どういうことだよ?
ネクタイを締めながら、自分の運命を呪った。
階下に降りると、母さんと姉貴がキッチンに立っている。
「由哉、おはよ。早く朝ごはん食べちゃいなさいよ」
「ああ」
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