明陰の志郎

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 志郎「俺がこの世界を手に入れるためです、それだけのことです、それが、何か?」   ④  志郎「俺がこの世界を手に入れるためです、それだけのことです、それが、何か?」  沈黙  貴、反応。志郎の手を握って、振る「それは、すごいや!すごいよ、すごい、青年よ、大志を抱け!だ~~そうかあ、世界制服か」  英明「バカなことを」  貴「どうしてです、部長」  英明「この世界には、いや、人類には、そうする価値はないよ。君が知らないはずはないと思うけど」  志郎「なるほどね、部長さんは、そう考えるわけだ」  英明「違うのかい?」  ナレ「どこかで、世界の大事な”箍”とでもいうべきものが外れてしまった。この時代のこの世界に住む全ての人間が、そう考えていた。世界のそこここで、戦闘が当然のように起こっていた。しかし、どの国も自国の利害にこだわり、機能停止。その気になればとめられそうに見えるものも、ただ手をこまねいて傍観するだけ。後進国では、旱魃や洪水による飢餓が発生。生活に余裕のある人々の間で、それを支援しようとする動きも、ないわけではないが、とてもそれを改善するような量にはならなかった。先進国と呼ばれる国々では、支援に寄付するよりも、カジノでその何倍もの金額が浪費されていた。麻薬と、快楽、退廃が蔓延していた。今、志郎たちが住む”ニホン帝国”も、例外ではなかったのである。今、”ニホン帝国”の繁栄の中心はエド湾にあるエドメガロポリスだった。ちなみに、志郎たちの学校、秀麗館は旧東京市街にあったのだ」  英明「世界はいまや、あの聖書に出てくる背徳の都”ソドムとゴモラ”になってしまったという人たちがいる」  志郎「ふむ・・あとは、滅びるだけ、だと?」  英明「人類は、世界は、どうしようもない、進化の袋小路に陥ってしまったんだ」  志郎「だから?」  英明「だから?」  志郎「だから、俺が、世界を手に入れる」  英明「む?」  志郎「未来は常に開拓されることを待っている未開の荒野だ・・てことさ」  英明「未来は常に開拓されることを待っている未開の荒野・・確か、東天高校のモットーだな」  志郎「おまえはあきらめたようだが、俺は、切り開く」  英明「しかし・・」  志郎「別に俺は、この世界をよくしようなんて思っていないからな。俺は、このまま、この世界を支配するだけだ」
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