緊急幹部会議(前編)

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マズイ・・・、 マズイぞ・・・! このままではコイツらは実行してしまう! 話の流れを変えんと・・・。 そう思い立ち俺は台所へ向かい、 水を入れたコップとタオルを持ち、 リビングに戻る。 そしてそれを・・・、 九条の頭の上で、ひっくり返した。 「・・・何すんのよ!」 俺の胸ぐらを掴んで来た九条の頭の上に、 タオルを乗せる。 正直、ビンタ・・・、 最悪グーパンまで覚悟しての行動だったが、 胸ぐらを掴まれる程度で済んで良かった~。 「それで拭け、  そして頭を冷やせ。  何時(いつ)もの冷静沈着(れいせいちんちゃく)な、  九条詩夜璃(くじょうしより)何処(どこ)へ行ったのだ?  俺達は事情どころか、  そこの女性の名前も知らんのだ。  先ずは名前から教えてもらおう。」 (なだ)める意味も込めて、 (さと)すようにそう言った。 「佐倉(さくら)小夜(さよ)さん・・・。」 落ち着きを取り戻したのか、 九条は髪を拭きながら言った。 良し! とりあえず会話の流れを引き寄せたぞ! 「何が有った?」 「5月18日午後7時頃・・・、  小夜さんは・・・、  社長室で社長とトラブルが有った。  でも、社長にはアリバイが有る。  ・・・だから、  そのアリバイを崩さなきゃなんないのよ!」 「それでは(わか)らん、詳しく話せ。」 「そ、それくらい察しろ!」 「トラブルの内容はどうでも良い。  俺が知りたいのは、  ぶっ壊すアリバイの内容だ。  アリバイが(わか)らんのでは、  壊す方法も思い付かんだろ?」 「・・・その日の午後6時から、  下請け会社の社長二人と、  料亭で会食しているの。  下請けの社長達はずっと居たと、  証言してるわ。」 下請け業者か・・・。 元請けの社長には絶対服従と言う事か。 ・・・ん? 「ところで佐倉さんの勤め先は何処(どこ)だ?」 そもそも業種も(わか)らんのでは、 元請けと下請けの力関係がどの程度なのかも、 推測出来ない・・・。 「あ・・・、聞いてない・・・。」 九条はドラマ録画するの忘れてた! ・・・的な顔で言った。 「お~い。  その辺大事な所だぞ~。」 (あき)れて物も言えん。 ・・・まぁ物は言ったんだが。 「あ、蔵武(くらたけ)建設(けんせつ)よ。  もっとも派遣社員なんだけどね~。」 俺の問いに対して佐倉小夜がそう答える。
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