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マズイ・・・、
マズイぞ・・・!
このままではコイツらは実行してしまう!
話の流れを変えんと・・・。
そう思い立ち俺は台所へ向かい、
水を入れたコップとタオルを持ち、
リビングに戻る。
そしてそれを・・・、
九条の頭の上で、ひっくり返した。
「・・・何すんのよ!」
俺の胸ぐらを掴んで来た九条の頭の上に、
タオルを乗せる。
正直、ビンタ・・・、
最悪グーパンまで覚悟しての行動だったが、
胸ぐらを掴まれる程度で済んで良かった~。
「それで拭け、
そして頭を冷やせ。
何時もの冷静沈着な、
九条詩夜璃は何処へ行ったのだ?
俺達は事情どころか、
そこの女性の名前も知らんのだ。
先ずは名前から教えてもらおう。」
宥める意味も込めて、
諭すようにそう言った。
「佐倉小夜さん・・・。」
落ち着きを取り戻したのか、
九条は髪を拭きながら言った。
良し!
とりあえず会話の流れを引き寄せたぞ!
「何が有った?」
「5月18日午後7時頃・・・、
小夜さんは・・・、
社長室で社長とトラブルが有った。
でも、社長にはアリバイが有る。
・・・だから、
そのアリバイを崩さなきゃなんないのよ!」
「それでは解らん、詳しく話せ。」
「そ、それくらい察しろ!」
「トラブルの内容はどうでも良い。
俺が知りたいのは、
ぶっ壊すアリバイの内容だ。
アリバイが解らんのでは、
壊す方法も思い付かんだろ?」
「・・・その日の午後6時から、
下請け会社の社長二人と、
料亭で会食しているの。
下請けの社長達はずっと居たと、
証言してるわ。」
下請け業者か・・・。
元請けの社長には絶対服従と言う事か。
・・・ん?
「ところで佐倉さんの勤め先は何処だ?」
そもそも業種も判らんのでは、
元請けと下請けの力関係がどの程度なのかも、
推測出来ない・・・。
「あ・・・、聞いてない・・・。」
九条はドラマ録画するの忘れてた!
・・・的な顔で言った。
「お~い。
その辺大事な所だぞ~。」
呆れて物も言えん。
・・・まぁ物は言ったんだが。
「あ、蔵武建設よ。
もっとも派遣社員なんだけどね~。」
俺の問いに対して佐倉小夜がそう答える。
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