緊急幹部会議(前編)

4/6
前へ
/90ページ
次へ
蔵武建設か・・・。 有鐘では最大手だな・・・。 そこに切られると死活問題だ、 偽証するくらいは御安い御用と言う訳だな。 「タナトスよ、蔵武建設の・・・。」 「もう調べたよ。」 「早いな~。」 素で驚いてしまった・・・。 「(きょう)ちゃんの言う事は大体予想出来るからね~。  え~っと、株式会社蔵武建設・・・、  社長は戸繰(とぐり)数利(かずとし)になってるね。」 凛斗は振り返る事も無く言った。 「ま・・・まぁ、  これくらいは予想してもらわないとな。」 つ、次は下請けの・・・。 「佐倉さん、  アリバイの証言してる社長達って、  何処(どこ)の会社っすか?」 俺が指示を出すまでも無く、 凛斗はそう(たず)ねていた。 「多田野(ただの)土木(どぼく)の多田野社長と、  利杉(りすぎ)建材(けんざい)の利杉社長よ。」 それを聴きキーボードを軽く叩いて、 「え~っと、  多田野(ただの)幸雄(さちお)と、  利杉(りすぎ)隆也(たかや)の二人だね。」 と検索結果を出した凛斗。 普通ならば頼もしく成ったな・・・、 と目を細める場面なのだろうが・・・。 何か悔しい・・・。 「アリバイ・・・、つまり現場不在証明(げんばふざいしょうめい)。  要するに、  事件発生時に現場に居なかった事を証明する事だ。」 何か悔しいので、 回りくどい言い回しをして見せる。 「そんな回りくどい言い方しなくても、  それくらい判ってるわよ!」 イライラした様子で九条が食って掛かって来た。 「まぁ、そうイライラするな。  色々な発想も必要だと言う事だ、  要するに現場に滞在していた事を証明すれば、  アリバイは崩れる・・・。  例えば防犯カメラに社長が午後7時前後に、  社長室に入る姿でも録画されていれば、  それだけで社長二人の証言なぞ無意味になる。」 「あっ!  ・・・そうよ、防犯カメラ!  社長室に防犯カメラが有れば、  犯行の一部始終が録画されてるはず!」 九条はそう言って佐倉小夜を見た。 「それがね、  社長室と社長室前の廊下って、  防犯カメラ付いて無いのよ。  そもそも社長室へは、  直通のエレベーターでしか行けなくてさ。  防犯カメラは不要だって事らしいの。」 佐倉小夜はそう言って目を伏せる。
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加