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蔵武建設か・・・。
有鐘では最大手だな・・・。
そこに切られると死活問題だ、
偽証するくらいは御安い御用と言う訳だな。
「タナトスよ、蔵武建設の・・・。」
「もう調べたよ。」
「早いな~。」
素で驚いてしまった・・・。
「鏡ちゃんの言う事は大体予想出来るからね~。
え~っと、株式会社蔵武建設・・・、
社長は戸繰数利になってるね。」
凛斗は振り返る事も無く言った。
「ま・・・まぁ、
これくらいは予想してもらわないとな。」
つ、次は下請けの・・・。
「佐倉さん、
アリバイの証言してる社長達って、
何処の会社っすか?」
俺が指示を出すまでも無く、
凛斗はそう尋ねていた。
「多田野土木の多田野社長と、
利杉建材の利杉社長よ。」
それを聴きキーボードを軽く叩いて、
「え~っと、
多田野幸雄と、
利杉隆也の二人だね。」
と検索結果を出した凛斗。
普通ならば頼もしく成ったな・・・、
と目を細める場面なのだろうが・・・。
何か悔しい・・・。
「アリバイ・・・、つまり現場不在証明。
要するに、
事件発生時に現場に居なかった事を証明する事だ。」
何か悔しいので、
回りくどい言い回しをして見せる。
「そんな回りくどい言い方しなくても、
それくらい判ってるわよ!」
イライラした様子で九条が食って掛かって来た。
「まぁ、そうイライラするな。
色々な発想も必要だと言う事だ、
要するに現場に滞在していた事を証明すれば、
アリバイは崩れる・・・。
例えば防犯カメラに社長が午後7時前後に、
社長室に入る姿でも録画されていれば、
それだけで社長二人の証言なぞ無意味になる。」
「あっ!
・・・そうよ、防犯カメラ!
社長室に防犯カメラが有れば、
犯行の一部始終が録画されてるはず!」
九条はそう言って佐倉小夜を見た。
「それがね、
社長室と社長室前の廊下って、
防犯カメラ付いて無いのよ。
そもそも社長室へは、
直通のエレベーターでしか行けなくてさ。
防犯カメラは不要だって事らしいの。」
佐倉小夜はそう言って目を伏せる。
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