緊急幹部会議(前編)

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「それじゃ、  直通エレベーター前には、  防犯カメラ付いて無いんですか?  その直通エレベーターに社長が乗る姿が有れば、  それが社長室に行った証拠になりますよ。」 九条がそう言って食い下がる。 「警察が確認してくれたけど、  私は写ってたけど、  社長は写って無かったってさ。」 警察が、 防犯カメラのチェックまでするとは・・・。 どうやら佐倉と社長のトラブルは、 九条が内容を明かさない事から、 性的な事案だと推測してはいたが、 ・・・強制性交被害か。 女共(おんなども)がブチ切れてる訳だ。 しかし社長室に向かう社長の姿が、 防犯カメラに写って無かったとすると・・・、 佐倉小夜の虚言(きょげん)の可能性も有る。 「それじゃ社長はどうやって社長室に?」 他に行く方法が無いとなると、 佐倉小夜の虚言と言う事だ。 「社長室には外の非常階段からも行けるのよ。  内側からだと誰でも開けられるんだけどね、  外からだと社長の持ってる鍵が無いと入れないの。」 なるほど・・・、 社長ならば非常階段から入る事が出来る、 ・・・と言う訳か。 「目撃者・・・、  目撃者探しましょ!  その時間帯に非常階段を登る社長を、  目撃してる人を見つけましょ!」 九条が一縷の望みを見つけたかのように、 身を乗り出して言う。 「無理よ・・・、  非常階段には電灯も付いて無いし、  人通りの少ない通りに面してるから、  誰も居ないはず・・・、  私もレイプされた姿なんて・・・、  誰にも見られたく無かったから、  非常階段を降りて家に帰ったの・・・。」 佐倉小夜はあっさりと爆弾発言をかましてくれた。 コレは・・・ヤバイ。 恐る恐る師匠の方を見た。 筋肉が膨張しプルプルと震え、 その震えが空気まで振動させている。 「おい!凛斗~!  そのクソ野郎の住所調べろ~!」 師匠は立ち上がり怒鳴る。 師匠はこの手の話が大嫌いだ。 『男は女に手を上げちゃならねぇ。』 が身上の人だから俺も龍成(りゅうせい)も、 ガキの時分からその辺は随分(ずいぶん)(しつけ)られた。 「師匠!どうするつもりですか?」 何をするつもりなのかは判っているが、 一応聞いてみた。
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