夜の帰り道

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「全く・・・、  車取りに帰ったのに、  車忘れてくるなんて。」 「仕方無いだろう。  家に着く前に師匠に捕まったのだから。」 会議の後、 先輩と小夜さんは、 タイガーさんに家まで送ってもらう事となり。 私と摩子は守屋に送ってもらっている。 摩子を先に送り、 今は有大(あるだい)前に差し掛かった辺りだ。 「あ、サシキさんってさ、  何でタイガーさんなの?」 「あ~、それはな。」 守屋はそう言いながらスマホを取り出し、 何かを入力して私に見せてくれた。 『刺木 虎治郎』 画面にはその文字が浮かんでいる。 「師匠の名前はこう書くんだ。  名前に(とら)の字が有るだろ?  それが由来の一つだ。」 「なるほど・・・、虎だからタイガーなのか。  ん?  由来の一つって、  まだ何か理由有るの?」 「他には強さが野生の虎並みだからとか、  後は・・・、  師匠は女にフラれると旅に出る(くせ)が有る。」 「なるほど・・・、トラさんか。」 「まぁ、そう言う事だ。」 「あ・・・、  さっきは取り乱しちゃっててゴメンなさい。」 「内容が内容だからな・・・。  お前達がブチ切れるのも理解出来る。  ・・・だから気にするな。」 「ありがと。  ・・・あ、この話さ上手く行ったら、  修羅場乱舞テレビに採用されないかな?」 「何?  修羅場乱舞テレビ観てるのか?」 「うん、  毎週録画して観てる。」 「今日の分も録画してるのか?」 「うん、してるよ。」 「観たい!観せてくれ頼む!」 「えっ・・・、  今から・・・、  私の部屋で・・・?」 「あ・・・、  それはマズイな・・・、  後で貸してくれ。」 「う、うん・・・、解った貸すね。」 「スマンな助かる。」 「あ、  今日木刀持ってないけど帰り大丈夫?」 「木刀では無い、  魔剣ヴァンクレイバーだ。」 「そんな設定どうでも良い!」 「案ずるな、  無手(むて)心得(こころえ)も多少は有る。  そこら辺のガキになぞ(おく)れは取らんよ。」 「あ、ありがと!ここで良いわ!」 「ん、そうか、  では明日は頼むぞ。」 「うん、大丈夫。  作戦通り上手くやるわ。」 「いや、修羅場乱舞テレビの方なんだが。」 「そっちかよ・・・。」 「まぁ、両方共頼むぞ。」 「解った、じゃあ気を付けてね!  おやすみ~!」 「あぁ、おやすみ!」
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