守屋の師匠

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幼い弟の手を引き、 息を切らせて走る姉。 その後を追い掛ける、 複数の浪人風の男達。 「あっ!」 足がもつれて弟が転んだ時、 繋いだ手が離れてしまう。 「太助(たすけ)!」 姉が弟に駆け寄り抱き上げる。 しかしその瞬間! 男達に周りを取り囲まれてしまった。 「お願いします!  弟だけはお見逃し下さいませ!」 そう懇願する姉に、 「そう言う訳にはいかねぇなぁ。  二人仲良くあの世に行きな~!」 そう言って刀を抜き、 振り上げる男。 弟を抱きしめ目をつぶる姉。 その時! シューッ、パシッ! 刀を振り上げた手に、 どこからか飛んできた、 白い封書が刺さる! 「ぐあっ!」 刀を落として手を押さえる男。 「何だこいつは・・・?」 仲間の男が刺さった封書を、 抜き取り見た。 その封書には、 『断罪御免状(だんざいごめんじょう)』 の文字が・・・! 「そいつぁ~、  断罪御免状(だんざいごめんじょう)つってな、  テメエらみてえなド外道を、  地獄に送って良いってな~、  御上(おかみ)から授かったもんなんだよ!」 と白い着物を着た男が、 男達の後ろから姿を現した。
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