悪王

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そう言えば・・・。 コイツらは佐倉とどういう関係なんだ? 姉妹とかでは無さそうだが・・・? 「ねぇ~ん、社長~。  ハグしてる所も撮りたいんですけどぉ~。  良いですかぁ~?」 「あぁ、良いとも。」 「やったぁ~!」 青池が私の胸に飛び込んで来た所で、 九条は顔を手で覆ったまま、 部屋を飛び出して行った。 「えっ?ちょっと九条さん!」 その後を佐倉が追って部屋を出て行く。 青池と女子高生はその様子を呆然と見ている。 「レンブラント・ファン・レインの、  『ユダヤの花嫁』と『夜警』ですか・・・。  流石は蔵武建設の社長さんですね。」 男子高生が壁に掛かった絵画を見ながら言う。 「君はレンブラントが判るのかね?」 「いえ、下のパネル読んだだけなんですけどね。  あ、摩子ちゃん。  ハグしてる所撮ってあげないと。」 「あ、そうだった!」 摩子ちゃんと呼ばれた子は、 思い出したように写真撮影を再開した。 「あ、社長さん。  僕も社会科のレポートで使いたいんで、  社長室の中の撮影させて貰っても良いですか?  こう言う機会じゃないと、  社長室なんて入れないんで。」 「無論構わんよ!  若者は日本の未来だからね。  これからはそう言う事が有れば、  社の広報部に連絡してくれれば、  どんどん協力するから。  遠慮しなくて良いんだよ。」 「有り難う御座います。  では失礼して。」 少年は一礼してビデオカメラを取り出し、 室内の撮影を始めた。 「あ、摩子ちゃんもう良いわ。」 青池はそう言って私から離れた。 「社長有り難う御座いました。  これで就職活動も安心して出来そうです。」 「いやいや、私なんぞの写真で役に立つのなら、  また何時(いつ)でも頼ってくれて構わんよ。  もし就職先が決まらなかったら、  ウチに就職すると良い!  宝陽君、  彼女に私の名刺を渡しておいてくれ。」 「(かしこ)まりました。」 「え~っ!ホントですかぁ~!やったぁ~!」 嬉しそうな笑顔で青池が抱きついて来た。 彼女の香りを楽しみながら私は思った。 今すぐにでも入社させて愛人にしたい・・・。
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