ボディーガード?

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「タイガーさんバックスお願いしますね。」 全力で走って来た刺木さんを(ねぎら)う事も無く、 当然のように言い放つ九条さん。 あれ? 初めて会ったあの時、 物凄く怖がってたように見えたけど・・・。 けどあの後は怒鳴り付けてたし・・・。 怖い物知らずなのかな? 「バックスって何だよ?」 「後ろで守る事ですよ!」 「何でお前が仕切るんだよ。」 「私がBGなんだから当然でしょ!  早く行って行って!」 そう言ってシッシッと手を振る九条さん。 「・・・解った。」 釈然(しゃくぜん)としない顔で後ろに回る刺木さん。 多分、 用語の使い方間違ってるな・・・。 子供ってドラマで覚えた事とか、 意味が解って無くても使いたがるもんね。 まぁ大人にも当てはまる事だけど。 しかし怖く無いのかな? 私は怖い。 怖くてあんな口の利き方は出来ない。 怖そうな男性に対して、 あんなにハッキリと言いたい事なんて言えない。 彼女は・・・、 自分が正しいと思ったら遠慮無しに言える。 それって・・・、 怖い物知らずと言うより純粋って事なんだと思う。 純粋だから損得や駆け引き無しで、 相手と向き合えるんだな・・・。 私にも有ったのかも知れない。 でも・・・、 何時頃(いつごろ)からだろう・・・、 それすら思い出せないくらい昔に、 純粋さを無くしてしまった。 友達にさえ遠慮して、 言いたい事も我慢してた自分・・・。 そんな自分だから、 本心をさらけ出せる友達は居ない。 彼氏にも・・・。 達也(たつや)にも本心を隠してたのかな・・・。 だから、居て欲しい時に離れて行ったのかな? そんな卑屈(ひくつ)な自分には彼女が とても(まぶ)しく輝いて見える。 そんな事を考えていたら手を握られた。 「小夜さん、  そんなに怖がらなくて良いですよ~!  悪い奴は、  タイガーさんがぶっ飛ばしてくれますから。」
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