守屋の師匠

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「お~っ!  五十三(いそざ)さん来たぁ~!」 歓声を上げる摩子(まこ)。 液晶画面の向こう側では、 悪党達と主人公の大立ち回りが、 繰り広げられている。 いわゆるクライマックスと言う奴だ。 私個人の感想としては、 『あの姉弟を、  人質にすれば良いのに・・・。』 と思いながら観てたら・・・。 『動くんじゃねぇ~!  動いたらこいつらの命はねえぞ!』  と、 残り二人になった悪党の一人が、 姉弟を人質にして主人公を脅した! 「ああっ!卑怯だよ~!」 摩子の発した言葉が私に突き刺さる! 卑怯者の発想なのか・・・。 しかし次の瞬間、 『ハアッ!』 くノ一の格好をした女性が、 木の上から飛び降りて来て、 その悪党の背中に一太刀浴びせる! 「お(きょう)ちゃんナイス~!」 摩子は一人で盛り上がっている。 主人公とくノ一に挟まれて、 進退窮(しんたいきわ)まった悪党を観ながら私は、 『そろそろ九時か・・・、  守屋(もりや)遅いな・・・。』 と、考えていた。
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