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プルルルルルル・・・。
インターホンが鳴っている。
時刻は朝9時。
九条さんが迎えに来る時間だった。
今日は出掛ける用事が有るので、
準備を済ませて九条さんが来るのを待ってた。
「は~い。」
返事をしながら玄関のドアを開けたら、
九条さんと・・・、
刺木さんが立っていた。
「あれ?
刺木さんは夜じゃ有りませんでしたっけ?」
「佐倉さん、
これからはずっと俺が守りますから、
安心してて下さい。」
「えっ・・・、
でも寝てないんじゃ?」
「大丈夫!大丈夫!
鍛え方が違うんすよ~!」
「小夜さん大丈夫です。
途中で倒れでもしたら、
放っといて置き去りにしますから。
さっ、行きましょ~。」
「倒れねえよ!
鍛え方が・・・。」
「ハイハイ何回も聞きました。
さぁ、出掛けましょ小夜さん!」
大丈夫かな・・・、
このチーム・・・?
とりあえず玄関を出て鍵を掛けた。
三人で並んで歩き出すと、
「タイガーさんバックス~!」
と九条BGから指示が飛んだ。
「並んでても良いじゃねえか!」
刺木さんが反論するも、
「タイガーさん並んでたら、
敵が警戒しちゃうでしょ!
女子二人は囮も兼ねてんだから、
敵がノコノコ出てきたら~、
とっととぶっ飛ばしちゃって下さい!」
と九条BGからの更なる指示が!
「くっ・・・、
これだから女は・・・。」
ブツブツ言いながら後ろに行く刺木さん。
何か可愛い。
一昨日・・・、
初めて会った時は、
絶対ヤクザだと思ってた。
刺木さんと守屋君に、
部屋に行こうと言われた時は、
『嫌だ。』
と言う事も出来ないくらい怖かった。
ついて行きたく無かった。
でも・・・、
一昨日までの、
絶望しか見えてない私には、
『もうどうなっても良い・・・』
って気持ちの方が強かった・・・。
だから逆らいもせずに、
黙って言われるがままに、
ついて行った。
今考えればとても危険な行為だ。
大声を出し逃げるのが正解。
しかし結果的には、
私を助けるために、
一生懸命になってくれてる、
掛け替えのない人達になってる。
人生って・・・、
先の判らない物なのよね。
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