護る者護られる者

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「男が()かれたぞ!」 「誰か!駅員呼べー!」 怒号(どごう)悲鳴(ひめい)が混じり合い、 騒然(そうぜん)とするホーム。 さっきコーヒー飲んでくるって、 言ってたのに・・・。 私のせいだ、私のせいだ、わたしのせいだ。 見たくない、見たくない、みたくない。 嫌だ、嫌だ、いやだ。 死んじゃった、死んじゃった、 ・・・・・・しんじゃった。 「タイガーさん・・・、  死んじゃった。」 九条さんの声が聴こえた。 嫌・・・、 聞きたくない、聞きたくない、聞きたくない! うそ、うそ、うそ、うそ、うそ、嘘だよね? 嘘だって・・・、誰か言ってよ! 「おい!  生きてる!生きてるぞ~!」 誰かがそう叫んだ。 その声で我に返る。 這いずるように、 ホームと電車の間に向かう。 その隙間(すきま)から、 刺木さんの手がヒラヒラと動いてる! その手を両手で握りしめ、 (ぬく)もりを確かめた。 「良かった・・・、よがっだぁ~!」 私はその場で号泣した。
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