護る者護られる者

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駅のホームの下には、 人一人分(ひとひとりぶん)くらいの隙間(すきま)が有るらしい。 刺木さんが助かったのは、 その隙間のお陰だった。 その説明を私と九条さんは、 泣きながら聴いていた。 泣き止まない私達に挟まれ、 ベンチに腰掛けている刺木さん。 「タイガーさん一人じゃ、  タイガーさん死んじゃうよ。  人を簡単に・・・、  殺そうとする奴等が相手なんて、  タイガーさん殺されちゃう!」 それを聴いた刺木さんは、 九条さんの頭に優しく手を乗せて、 「おいおい、  そんな声出すなよ~、  もっと小生意気な事言え、  調子狂っちまうよ~。  そんな奴等にゃ俺は負けねえよ!  心配すんな~!」 九条さんにそう言った後、 今度は私の頭の上にも手を乗せて、 「佐倉さんも安心してくれ、  ずっと守るって約束したんだ。  だから絶対に守り切る。  佐倉さんを、  奴等から守り切るまで!  俺は絶対死なねえ!」 そう言ってくれた。 「あ、そうだ九条。  鏡司の野郎に電話してよ~、  佐倉さんが襲われたって言ってやれ!  あの野郎~、  佐倉さんが嘘ついてるって、  疑ってやがったからな。  これで佐倉さんが言った事は、  嘘じゃねえって言ってやれ!」 「やっぱり守屋達にもガードしてもらおうよ!  タイガーさんだけじゃダメだって~!」 「そりゃダメだ!  アイツらにゃアイツらの、  役目が有るからな。  俺がやるしかねえんだよ。  それに最初はお前一人で、  昼間はガードするって、  言ってたじゃねえか~!」 「だって!その時は、  襲われたら警察に電話すれば、  すぐ逃げちゃうって思ってたの。  それくらいの相手だと思ってたの。  ・・・でも、  ホームから突き飛ばすなんて。  ・・・本気で殺す気だよ!」 「上等じゃねえか~。  俺も本気で守ってんだからよ、  それぐらいじゃなきゃ張り合いがねえよ。」 刺木さんは私達の頭の上から手を離し、 そのまま腕組みをしてみせる。 「刺木さん・・・。」 私は刺木さんの腕に手を添えて、 何かを言おうとしたけど・・・、 言葉が出て来なくて、 じっと見つめるだけになってた。 「佐倉さん、  怖がらなくて大丈夫!  こう見えても俺、  ・・・強いんすよ!」 私達を笑わせようとしてるのか、 自分の見た目を本気で知らないのか、 刺木さんの真意は解らないけど、 その気持ちが嬉しかった。
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