護る者護られる者

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「あの時はスイマセンでした~!」 「あの時はスイマセンでした~!」 そう言って私達に頭を下げる若者二人・・・。 この人達が又木兄弟? 「いいから、いいから、座って~。」 すこぶる御機嫌な様子の、 PTSDなはずの九条さん。 その言葉を受け、 向かい側の椅子に腰掛ける又木兄弟。 「女を拉致するとか・・・、  そこまでクズに成り下がったのか、  おめえらはよ~!」 「違うんすよタイガーさん!  それには事情が有るんすよ・・・。」 バンダナを巻いた方が弁明をしようとする。 「どんな事情だ!」 それを聴いた刺木さんが怒鳴る。 結構怖い・・・。 「実は・・・、  奴等の仲間になった振りしてっすね。  奴等の犯罪の証拠掴もうとしたんすよ。  それでパソコン見付けたんすけど、  ・・・パスワード解んなくて。」 そこまで言って言葉に詰まるバンダナ君。 「まぁまぁ良いじゃないですかタイガーさん。  過去の事なんだから~。」 ニコニコしながら、 刺木さんを(なだ)めてる九条さん。 「それでね~アンタ達には今から、  小夜さんのボディーガードしてもらうんだけど~。」 えっ?確定なの? 都合とか聴いて無いのに・・・。 「えっ?ボディーガード?」 坊主頭の方が聴き返した。 そうだよね普通・・・。 「何よ~、嫌なの~?」 えっ?何で~? 的なノリで言う九条さん。 「いや・・・、  いきなり言われてもな~。」 ちょっと何言ってるか解らない、 的なノリで返す坊主頭君。 「アンタ達が今!  こうやってここに居られんのは、  誰のおかげなのか判ってんの?」 「それはお前が警察に言わないでくれたから。」 「は?  お・ま・え?  アンタ達の罪を(ゆる)してくれた、  恩人(おんじん)の私に対して、  お・ま・え?  それって日本人の感覚としては、  正しいのかな~?  ちょっとおかしくない?」 「あ、貴女様(あなたさま)が、  警察に黙っててくれたからです。」 「いやいや、  貴女様なんて照れちゃうから、  そこまで言わなくて良いよ~。  九条様か詩夜璃様か、  どっちか好きな方で呼んで~。」 えっ?その二択(にたく)? 「様付けなきゃダメ?」 「普通、  恩人には様付けるもんよ。」 いやいや普通は、 さん(づけ)で良いと思うよ私は。
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