護る者護られる者

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「そんなの私が命令出来るの、  アンタ達しか居ないからよ。」 九条さんはさらっと言った。 「何で俺達が、  命令されなきゃならねえんだよ!」 寿人君がそう反論する。 「へぇ~、  そんな(ひど)い事言うんだ~。  私にした事・・・、  忘れちゃったんだ~。  小夜さん・・・、  警察まで付き添ってもらっても・・・。」 「ち、ちょっと待って!  誰もやらないなんて言ってないじゃん!」 慌てて祐人君が止める。 「アンタ達のせいで、  PTSDになったんだからね~。  責任取ってボディーガードくらい、  手伝ってくれないと困るし。」 それは断じて、 PTSDの正しい使い方じゃないから! 「解った・・・、  解ったよやるよ。」 寿人君が観念(かんねん)したように言う。 「んじゃ説明するね~。  これから小夜さんは、  人と会う予定が有るから~、  アンタ達はバックスで、  私と小夜さんの後方に付いてきてね。  んでタイガーさんは私達の・・・、  前だからフォワードね。」 今ポジション名作っちゃった! 「一つ聴いて良いか?」 寿人君が手を挙げて聴いてきた。 「何を?」 「佐倉さんを狙ってるのって誰だよ?  ストーカーなのか?」 「・・・それは、  蔵武建設の社長からの依頼を受けた、  外部の暴力組織よ。  まだ推測の域を出てないから、  断言は出来ないけどね。」 祐人君がハッとした表情で、 「それって牙龍会(がりゅうかい)の事か?」 と言った。 「牙龍会・・・、  って何?」 「仁田川(にだがわ)に本部の有る暴力団さ。  確か・・・、  蔵武の会長の弟分が牙龍会の会長だったはず。」 「詳しいのね。」 「俺、  仁田工卒(にだこうそつ)だからさ、  牙龍会入るような先輩も居るわけよ、  その先輩がそんな事言ってた気がする。」 「小夜さん牙龍会って聞いた事有ります?」 「私は派遣社員だから、  会社の裏側の事情とか全然知らない・・・。」 「牙龍会かよ・・・、  ヤバイ奴等だな・・・。」 寿人君がボソッと呟く・・・。 「ビビったの?  ・・・そうよね~、  アンタ達は守屋達より弱いから、  ビビるのも無理ないわよね~。  可哀想(かわいそう)だから、  ボディーガード辞めても良いわよ。」 「誰が守屋達より弱いって?  ふざけた事言ってんじゃねえよ!」 寿人君は立って、 テーブルに両手をついて言う。
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