胡散臭い奴

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「社長、  次の予定は、  『日本の社長ベスト100』  と言う企画のインタビューですね。  フリージャーナリストの、  アサミミツ・・・、  あ、失礼しました。  浅目光広(あさめみつひろ)様が、  お越しになられております。  お通ししますか?」 「あ~、呼んでくれたまえ。」 「(かしこ)まりました。」 私に名刺を渡して宝陽は部屋を出て行く。 「フリージャーナリストか・・・。」 名刺を机の上に放り投げた。 日本の社長ベスト100か・・・。 どの雑誌の企画なんだ? コンコンコン。 ドアをノックする音の後に、 「社長お連れしました。」 と宝陽の声が続く。 「どうぞ、お入り下さい。」 私の返事に反応したようにドアが開く。 「失礼します。」 と言って入ってきた、 無精髭(ぶしょうひげ)の胡散臭さそうな男。 ん?どっかで見たな・・・。 その後に無言で入ってきた、 帽子を被り、 サングラスを掛け、 マスクまでして、 顔を隠した女・・・。 その後にチンピラ風の男・・・。 何だこの胡散臭い奴等は? 「どうぞお座り下さい。」 とりあえず座るように言ったが・・・、 本当にインタビューするのか? コイツらが? 女を真ん中に挟むように3人が座り、 女が帽子とサングラスとマスクを外す。 「さ、佐倉小夜・・・。」 佐倉小夜だ! その時思い出す。 この男・・・、 望月(もちづき)が送ってきた、 佐倉と会ってた写真の男だ! 毎朝の記者だと言ってたが、 フリージャーナリストだったか・・・。 「変装でもしないと、  社長室に入れてくれないと思いまして。」 佐倉はそう言って私を(にら)む。 「一体・・・、何の用だね?  浅目さん・・・、と(おっしゃ)られましたか、  貴方(あなた)も、  その女の嘘に騙されて、  こんな所までノコノコ来たんですか?  フリージャーナリストと言うのも暇なんですな。」 「まぁ戸繰社長、  とりあえずこれを聴いて頂きたい。」 浅目はそう言って内ポケットから、 ボイスレコーダーを2台出して、 テーブルの上に並べた。 その内の一台を操作する。 『わ、私は頼まれたんだ・・・。  戸繰社長に、  う、嘘の証言をするように・・・。』 こ、この声は・・・、 多田野の声だ! そして浅目はもう一台の方を操作した。
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