守屋の師匠

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ピンポーン! 呼び鈴が鳴った。 「ハイハ~イ!」 摩子が玄関の鍵を開けに行く。 守屋が入って来たので、 「ちょっと~!遅いじゃ・・・。」 そこまで言って言葉に詰まる。 守屋の隣に誰か居た! ・・・うわっ、デカっ! ・・・顔っ、コワっ! 目が合ったら殺られる・・・! 私の本能がそう叫んでいる。 しかしフリーズして動けない私。 「あ~!タイガーさんだ~!」 摩子が嬉しそうな声を上げる。 「今晩はタイガーさん。」 凛斗が立って御辞儀してる。 「おう!久しぶりだな~!」 そのタイガーさんと呼ばれた男は、 優しく摩子の頭を撫でていた。 「き、鏡司(きょうじ)君、その方は?」 私同様に恐怖に囚われた先輩が、 震える声で守屋に尋ねた。 「あ~、  この人は俺の剣道の師匠・・・。  サシキコジロウさんだ。」 サシキコジロウさんか・・・、 どこをどうしたらタイガーさんになるのか? その点が気になってしまう・・・。 「は、初めまして。  こ、今晩は・・・。  あ、青池真璃(あおいけまり)です。」 辛うじて立って挨拶する先輩。 「く、九条詩夜璃(くじょうしより)です。  初めまして~。」 私も何とか立ち上がり、 挨拶する事が出来た。 「お~、女が三人居て助かった。」 え? ど・・・、どう言う意味? 「実はな~、  この人なんだが・・・。」 今まで気付かなかったが、 タイガーさんの隣に綺麗な女の人が居た。 「自殺しようとしてた所を、  俺が見付けて止めたんだがな~、  自殺しようとした理由を話してくれねえんだ。」 えっ・・・? 自殺って・・・? 「そこに鏡司(きょうじ)が通りかかったんでな、  どうするか相談したらよ~、  ここに連れて来る事になったんだ。」 何でここに連れて来るって結論になんのよ~! 「では師匠。  我々が居ると話しづらい事情なのかも知れません。  ここは女性陣に任せて、我々は席を外しましょう。  タナトス、外に出るぞ。」 守屋は私達に丸投げする気満々だ! ふざけんな~! と、怒鳴り散らしたい所だが、 タイガーさんが怒り出すかも知れない、 ・・・それは怖いので黙っていた。 守屋に呼ばれた凛斗は、 黙って守屋達と共に外に出て行った。 男どもが出て行って、 私と先輩と摩子、・・・そして謎の美女。 「あ、とりあえずお座り下さい。」
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