胡散臭い奴

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『こんな犯罪が、  行われてたと知ってたら、  私は例え頼まれたとしても、  戸繰社長はずっとここに居たなんて、  嘘の証言はしない!  せいぜい、  浮気のアリバイ作り程度だろうと思って、  嘘の証言をしたんだ!』 利杉まで・・・、 私を裏切るのか? 一体・・・、 あの二人に何をした! 「戸繰社長~。  この二人もね~、  この動画を観るまでは、  戸繰社長のアリバイの正当性を、  主張してたんですよ~。」 浅目はそう言った後、 チンピラに目で合図をする。 チンピラはタブレットを取り出して、 私の目の前に置いて操作した。 『いやっ!やめて!』 こ、この動画は・・・。 『社長!やめて下さい!社長~!』 悲鳴を上げてる女は・・・、 佐倉小夜だ! そして暴れる佐倉に、 覆い被さっている男は・・・、 俺だ! 佐倉が襲われてる部屋はここ。 レンブラントの2枚の絵画が、 それを証明している! 画面の隅の日付は、 5月18日PM19:12を示している! 何で・・・、 何であの時の動画が有るんだ~! 「フリージャーナリストなんて、  よっぽどじゃ無いと食えないんですよ。  だからね私・・・、  ビル清掃のバイトしてましてね。  この部屋にも何回か来てるんですよ。」 何を言ってるんだ浅目は? 私の視線は浅目を追っていた。 浅目は観葉植物の前に立ち止まり、 「ここに盗撮用のカメラを仕込んだんです。」 そう言って観葉植物の鉢から、 取り外した小型カメラを私に見せた。 「まさか・・・、  全部撮ってたのか?  あの時の事を盗撮してたのか~!」 「ええ、その通りです。  盗撮してたんですよ。  まぁ私の本業は強請(ゆすり)でしてね。  色んな社長室にカメラを仕込んで有るんですよ。」 浅目は、そう言ってニヤリと笑う。 「今回は佐倉小夜さんを探すのに苦労しましたが、  この前ようやく見つけましてね。  今日ここに御一緒してもらったんです。」 チンピラはタブレットを止め、 「社長さん・・・、  アンタ・・・、  終わりだよ・・・。」 そう私に向かって言った。
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