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「佐倉さん、
多田野、利杉のアリバイ証言の撤回。
そしてこの音声データが有れば、
警察に再捜査をさせる事が出来ます。
刑事と民事の両方で、
裁判を起こせば・・・、
戸繰の破滅は確実です。」
宝陽は床に落としたタブレットを拾い、
テーブルの上に置き口を開いた。
「和解案を提示します。
戸繰社長の個人資産から、
慰謝料として二千万円、
蔵武建設から管理不行き届きの、
慰謝料として一千万円、
計三千万円でいかがでしょう?」
さ・・・、三千万円だと?
しかも私の個人資産から二千万円!
「宝陽!ふざけるな!」
「社長・・・、
社長にはまだ、
蔵武の社長で居て貰わなければなりません。
どうぞ御理解を。」
「しかし、二千万円なんて!」
「社長・・・、
全てを失ってもよろしいので?」
宝陽は刺すような目で、
私を睨んでいる・・・。
私はその言葉に従うしか無かった。
「わ・・・、解った。」
私の言葉を受けた宝陽は、
佐倉の方を向き、
「佐倉さん貴女の受けた屈辱は、
決してお金では癒せないのは、
同じ女性として承知しております。
しかし、
会社としてはこういう形で、
謝罪するしか無いのです。
金額としては相場よりも、
かなり多くさせて頂いたつもりです。
この金額で、
納得して頂けませんでしょうか?」
そこまで言った後、
宝陽は頭を下げ、
「どうか蔵武建設をお救い下さい。」
とまで言った。
「宝陽さん・・・、
これで終わりにします。
頭を上げて下さい。」
佐倉はそう答えた。
「有り難う御座います。」
宝陽はそう答えた後、頭を上げ、
「それでは書類をお作りしますので、
別室の方へ御足労願えますか?」
宝陽はそう言ってドアを開け、
佐倉達に部屋から出るように促す。
「んじゃ皆行こうか。」
佐倉は浅目達を伴い部屋から出て行った。
二、二千万だとぉ?
女を姦っただけで二千万円!
ふざけるな・・・、絶対に払わん!
俺は受話器を取り、
短縮ダイヤルの4番を押した。
『はい、望月です。』
「望月~!
佐倉から音声データを取り上げろ!」
『えっ・・・、音声データですか?』
「そうだ!
佐倉達が会社を出たら襲って奪え!
これは御前の危機であるぞ!」
『・・・解りました。』
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