最終決戦!・・・それぞれの闘い

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「刺木さんよ~。  退()いてくれねえかな?  俺は強い奴とは、  あんまり()りたかねえんですよ。」 目の前の男はふざけてるのか、 そんな事を言い出してきた。 「そのまんま帰りゃ良いだろ?」 そう返したが、 「そう言う訳にも行かなくてね。」 そう言いながら、 奴は前屈(まえかが)み気味に、 ジリジリと間合いを詰めて来やがる。 間合いに入った瞬間、 右の前蹴(まえげ)りを放つ! 奴はそれを()わして足首を掴みに来た! 関節狙いか! (つか)まれる前に足を戻せたが・・・。 コイツ(こわ)()かよ! 迂闊(うかつ)に攻められねえな。 (つか)まれたら関節壊されちまう。 どうする? どう攻める? 正拳・・・、試してみるか。 奴が正拳の間合いに入る前に、 左の正拳をぶち込む! (あん)(じょう)手首を掴みに来た! 本命は前蹴りなんだよ! 奴は俺が放った右の前蹴りを、 予測してたように素早く手を戻し、 十字受けでガードする。 その時俺の右足に激痛が走った! 「ぐうっ!」 読まれてた! 「折るまでは出来なかったが、  右足・・・、使えねえだろ?」 立てねえ事はねえ・・・。 だが・・・、参ったなこりゃ。 片足やられると踏ん張りが()かねえ。 蹴りを封じられたも同然だし、 当然正拳も威力が落ちる。 奴は前屈みを止めた。 奴は痛めた右足を、 ローキックで攻める気だろう。 だから、 蹴りが打てる体勢に切り替えた訳だ。 クソッ! 派手さはねえが、 一番嫌(いちばんや)なタイプだぜ! どうする? どうする? どうする? ・・・止めた。 考えねえ。 さっきは考えて裏取られたんだ。 考えねえ。
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