最終決戦!・・・それぞれの闘い

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「守屋、これで終わったのよね。」 九条が確かめるように俺に聞く。 「ああ、最終決戦だったからな。」 望月を乗せた車が発車したのを見て、 俺はそう答えた。 「勝ったぁ~っ!」 摩子の勝利宣言に皆の歓声が続く。 「刺木さんっ!大丈夫!」 佐倉小夜が、 師匠に寄り添い声を掛けている。 「あ~、大丈夫、大丈夫!」 そう言って師匠は、 ゆっくりと右腕を上げ下げして、 「折れてもねえし、外れてもねえ、  ちょっと筋痛(すじいた)めただけだから、  放っときゃ治ります。」 やっぱり化け物だ・・・。 「全部、  あの日から仕組まれてたとはね。  それじゃあ、  あの動画の出来も納得だわ。」 宝陽が我々の顔を見ながら、 呆れたように言った。 「メンバー全員で事に当たったからな。  最高の結果になるのも当然の結果と言える。」 勝ち誇るつもりは無いが、 つい口元(くちもと)(ゆる)む。 佐倉小夜が遠慮がちに口を開く。 「宝陽さん・・・、  あの(うわさ)って本当だったのね。」 「えっ?噂って何?」 「宝陽さんが会長の愛人だって噂。  だから社長も手が出せないって。」 「そんな噂有ったんだ~!  知らぬは本人ばかりなりね。  残念ながら違うんだけどね~。」 「えっ!違うの!  だって今、  あの人に命令してたじゃない!」 「愛人じゃないのよ。  何なのかは内緒だけどね。」 宝陽はそう言って微笑んでいる。 「お嬢さんと、  呼ばれていた事から推測すると、  牙龍会会長の娘、()しくは、  蔵武建設の会長の娘といった所か?  しかし牙龍・・・。」 「世の中には、  知らない方が良い事も有るのよ。  守屋鏡司君。」 本名で呼ばれ、一瞬ゾッとしたが。 「何故!俺の名を?  と驚く所なんだろうが、  気付けば簡単な事。  社長室で名前で呼ばれ、  ついさっき名字で呼ばれてたな。」 「まぁ私についての詮索(せんさく)は無用よ。  単なる社長秘書なんだから。」 「解った。  これ以上詮索はしないでおこう。  それで例の件とは・・・?」 「詮索しないんじゃ無かったの?  それは(いづ)(わか)るわ。  それまで楽しみにしててね。」 「それも秘密か・・・。」 「そうよ。  秘密だらけなのが、  女って生き物なのよ。」 そう言って宝陽はニコリと俺に笑いかけた。
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