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「ねぇ、守屋。
さっき言いかけてた、
宝陽さんの正体って何?」
「俺の読みでは、
蔵武建設会長の隠し子だな。
牙龍会会長の娘だとすると、
勝手に慰謝料の金額を決める等、
会社の資産をある程度、
行使出来る権限を持てるはずも無く、
あれほど強い態度を戸繰に対して取れん。
蔵武建設会長の娘だとすると、
その事実を隠す必要は無い。
蔵武建設会長の娘だが、
その事実は、
隠さなければならないと考えると、
辻褄は合うだろ?」
「なるほど・・・。
辻褄は合うわね。」
「まぁ、あくまでも推論だし、
外れてても問題は無い。」
「確かに・・・、
それもそうね。
後、例の件って何の事かな?」
「我々にも何れ判ると言ってたからな、
恐らく報道される程の規模の事なんだろうな。」
「まぁ、推測出来るのもそこまでって事ね。」
「そう言う事だ。」
「皆~、
今晩お礼も兼ねて、
ご飯食べに行きましょ~!
何が食べたい~?」
突然佐倉小夜がそう言った。
「肉~!」
「肉賛成~!」
「寿司~!」
「やっぱ焼肉!」
「お寿司!お寿司!お寿司~!」
皆、口々に好き勝手に言っている。
「それじゃ~、焼肉屋さんの後、
締めにお寿司にしましょ~!」
佐倉小夜の提案に、皆大歓声を上げた。
「刺木さんは、
病院が先だけどね~。」
佐倉小夜が師匠にそう言ってニコリと笑う。
「佐倉さん!大丈夫だって!
俺は鍛え方が違うから!」
「ダメよ!タクシー呼ぶから。」
「いいって、佐倉さん!」
「コラ~!フォワード~!
クライアントの命令は聞け~!」
九条が師匠と佐倉小夜の会話に、
割って入ってそう言った。
フォワードって・・・、何の事だ?
「そうよ~!
私の命令は聞きなさい!
一緒に行くから。」
「ボディーガードは終わりですよ!」
師匠は諦める事無く、拒んでいる。
「家に帰るまでがボディーガードです!」
との九条の台詞に、
「遠足かっ!」
俺がツッコミを入れてしまった。
しかし、師匠と言えど、
この二人には勝てんだろうな・・・。
ある意味、望月以上の強敵だからな。
しかし、師匠は覚えているのだろうか。
自分が佐倉小夜の前で、
告白同然の発言をした事を・・・。
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