騎士の心得

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「どうだ?  変じゃねえかな?」 スーツ姿で、 バッチリと決めてるタイガーさん。 「もう少し、  ラフな方が良くないかな~?  ジャケットにジーンズとか。」 先輩は、 タイガーさんの周りを回り、 スタイルチェックをしながら、 そう言った。 「いや、  スーツで良いと思いますよ~。  ある意味、勝負ですからね~。」 私も同様に、 スタイルチェックをしながら言った。 タイガーさんは今日、 小夜さんの家にご招待されてるので、 その時に愛の告白をするつもりらしい。 それで私達に、 ファッションの最終確認を頼みに、 アジトに立ち寄っているのだ。 先輩が、 ネクタイを少し直して、 「これで良し!」 と太鼓判を押す。 「それじゃ行ってくる!」 と(きびす)を返し、 玄関へ向かうタイガーさん。 「行ってらっしゃ~い!」 「結果メールしてね~。」 「タイガーさんファイト~!」 私達の声援を背中に受け、 タイガーさんは戦地に向かって、 玄関から出て行った。 「師匠・・・、  やっぱり忘れてるな。」 守屋がそう言うと、 「そうね・・・。  言った事すら気付いて無さそう。」 先輩がそう返した。 「えっ?  何か言ってたんですか?」 何の事か判らない私は二人に(たず)ねた。 「小夜さんの前で、  惚れた女とか言ったのよ。」 「え~!  そんな事言ってたんですか!」 「そう言えば、  お前は宝陽を呼びに行ってて、  その場に居なかったからな。」 「へっ?」 「戦いを終わらせる為に、  宝陽を呼びに行ってただろ?  しかし、  あの時点で良く判ったな、  宝陽が望月達の関係者だと言う事が。」 そう言われて気付く。 守屋は、 私が、 宝陽さんの後ろから、 ついて来たのを、 私が、 宝陽さんを呼んで来たのだ、 と勘違いしている事に。 しかし、 あの最終決戦で活躍をしてない私は、 守屋の勘違いをそのまま利用する事にした。 「あ、あの時は・・・、  そ、そこまで判ん無かった、  け、けどね・・・。  と、止めてくれるんじゃ、  な、無いかな~って。」 「何故、顔を(そむ)けてるのだ?」 「どどど、動揺(どうよう)なんかしてない!」 「照れてるのか?  フッ・・・、  まぁ良い・・・。」
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